交通事故の過失割合の決まり方は?納得できないときの対処法も解説

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この記事のポイント

・過失割合は事故の責任度合いを示し、賠償金額に大きく影響する重要な要素である。
・過失割合には事故類型ごとに基本的な目安があり、個別の状況に応じて修正される。
・弁護士への依頼で適正な過失割合での示談と慰謝料増額が期待できる。

保険会社から「過失割合はこのとおりです。」と言われ、納得がいっていないにもかかわらず、どうすべきなのかわからずに困っていないでしょうか。

交通事故の「過失割合」とは、「交通事故が起きた原因がどっちにどのくらいあるのか」を割合で示したものをいいます。例えば、加害者側が100%悪い場合には、加害者側の過失:被害者側の過失=100:0となります。

一方で、被害者側にも過失がある場合には、その過失分だけ、被害者が受けとれる示談金額(賠償金額)が減ってしまうことがあり、過失割合がどれくらいになるかは保険会社にとっても、被害者にとっても、とても重要です。

ただ、保険会社に提示された過失割合は必ずしも正しいわけではありません。保険会社に提示された過失割合を鵜呑みにしてしまうと、実は被害者側の過失が本来の過失よりも大きく、知らず知らずのうちに損をしていたということもあります。

被害者側が損をしないためには、被害者側も過失割合について正しい知識を持っておくことが必要です

この記事では、次のことについて弁護士が解説いたします。

  • 交通事故の過失割合とは
  • 交通事故の過失割合の決まり方
  • 過失割合に納得できないときの対処法
  • 過失割合の交渉を弁護士に依頼するメリット

交通事故の「過失割合」とは

まず過失割合の意味とその重要さについて説明します。

(1)過失割合とは

過失割合とは、交通事故が起こったことについて、当事者双方にそれぞれどれくらいの過失(=ミス・不注意)があったかを示す割合をいいます。

例えば、信号待ちで停車している車Aに後ろから車Bが追突した場合、Aはどんなに注意をしても事故を避けようがありません。このようにAに全く過失が認められない場合、AとBの過失割合は0:100となります。

一方、被害者Aが「(信号のない)横断歩道から30メートル離れた場所」で道を横断し、車Bに惹かれてしまった場合には、被害者にも「横断歩道を渡らなかった」という過失があるとされます。このように、Aにも過失が認められる場合には、AとBの過失割合は30:70と認定されることになります(Aに他に過失がない場合)。

過失割合とはのイメージ

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会「別冊判例タイムズ38」判例タイムズ社【33】

交通事故は被害者側に過失が全くないケースばかりではありません。むしろ、被害者側であってもある程度の過失割合が認められるケースがほとんどです。

(2)過失割合に応じて賠償金が減額される可能性がある

過失割合に応じて、被害者が最終的に受けとれる賠償金が減額される可能性があります。

例えば、被害者と加害者の過失割合が20:80、被害者に生じた損害額が1000万円だったとします。

この場合、1000万円の損害のうち200万円は被害者自身が負担し、加害者は800万円を被害者に支払うことになります。

過失割合に応じて賠償金が減額される可能性があるのイメージ

このように、被害者にとって過失割合がどれくらいになるかは、最終的に受けとれる賠償金の金額にも関わるため、非常に重要になります。

交通事故の過失割合の決まり方とは

次に、過失割合の決まり方について説明します。

(1)過失割合の決まり方

過失割合の決まり方は、加害者や保険会社との話し合いや裁判によって行われるのが一般的です。警察が過失割合を決めるということはありません。

そして、過失割合は、過去の交通事故の裁判による判決を参考に、大体の目安が決められており、加害者や保険会社の話し合いでもその目安を前提に決めることになります。

たとえば、信号機のない交差点における車同士の衝突事故の場合(車Aが走る道路が道路交通法上の優先道路である場合)を見てみましょう。

この場合、AとBの過失割合の目安は、10:90となります。

過失割合の決まり方のイメージ

【過失割合(%)】

A(優先車)B(非優先車)
1090

このように、交通事故の類型ごとに、過失割合の目安があります。過失割合の目安については、主に、次の本が参考になります(一般の方でも購入できます)。

・ 東京地方裁判所交通部編「別冊判例タイムズ38号・民事訴訟における過失相殺等の認定基準」判例タイムズ社
・ 日弁連交通事故相談センター東京支部「民事交通事故訴訟:損害賠償額算定基(上巻・基準編)」(通称「赤い本」)
・ 日弁連交通事故相談センター「交通事故損害額算定基準」(通称「青本」)

(2)過失割合の修正要素

交通事故の類型ごとに基本的な過失割合の目安がありますが、過去の事故とまったく同じ条件で起こる事故は存在しません。

そのため、過失割合を決まり方としては、個別の交通事故の状況に鑑みて、過失割合の目安に修正を加えます。例えば、(1)で挙げたケースにおける修正要素として、次のようなものがあります。

• Bが明らかに先に交差点に入っていた場合…Aに+10% • Aに著しい過失あり(脇見運転など著しい前方不注意、酒気帯び運転、時速15キロ以上30キロ未満の速度違反、著しいハンドル・ブレーキの操作ミスなど)…Aに+10%
• Aに重過失あり(居眠り運転、無免許運転、酒酔い運転、時速30キロ以上の速度違反、故意に準ずる加害など)…Aに+25%
• Bに著しい過失あり…Bに+10%
• Bに重過失あり…Bに+15%

他にも次のような事情がある場合には、過失割合が修正される可能性があります。

  • 時間帯(夜間であったか)
  • 事故発生場所(幹線道路、住宅地・商業地)
  • 被害者の属性(高齢者、幼児、児童、障害者)

交通事故の過失割合に納得できないときは?

保険会社どうしの話し合いの結果として提示された過失割合に納得できないときは、その過失割合が誤っていると反論する必要があります。そして、保険会社に反論をする場合には、こちら側の主張が正しいことを裏付ける証拠用意しておくとよいでしょう。

例えば、次のような証拠です。

  • 交通事故の目撃者
  • ドライブレコーダー
  • 車や物の修理に関する資料
  • 実況見分調書(人身事故の際に警察官が捜査資料として作成するもの)など

過失割合に納得できない場合には、弁護士への依頼がおすすめ!

弁護士に依頼することで、適正な過失割合による示談が目指せるほか、最終的に受けとれる慰謝料の増額が期待できます。

(1)適正な過失割合での示談が期待できる

弁護士に依頼することで、適正な過失割合での示談が期待できます。

過失割合に納得がいかない場合には、証拠を集めて、その証拠がこちら側の主張が正しいことを裏付ける理由を説明しなければなりません。

ただ、被害者本人が個人でそのような準備をし、交渉をすることは難しいでしょう。そこで、過失割合に納得がいかない場合には、弁護士への依頼がおすすめです。

交通事故の経験が豊富な弁護士に示談交渉を依頼したりすると、弁護士は、道路状況や車の損傷部分や程度などのさまざまな証拠をもとに正しい事故状況を検討します。そして、弁護士はその結果を基に保険会社と交渉します。これにより、適正な過失割合で保険会社と示談できる可能性が高まります。

(2)慰謝料の増額できる可能性がある

弁護士に依頼すると、適正な過失割合による示談が目指せるほか、最終的に受けとれる慰謝料の増額が期待できます。

実は、交通事故の慰謝料の金額は、法律で決められているわけではありません。そのため、保険会社との交渉次第で金額は大きく変わってきます。例えば、同じようなケガや入通院期間であっても、話し合いの内容次第によっては金額が違うということもあります。

慰謝料の金額を交渉する際には、次の3つの基準がポイントになってきます。保険会社が使う基準である「自賠責の基準」「任意保険の基準」、弁護士が使う基準である「弁護士の基準」の3つです。

・ 自賠責の基準:自賠責保険により定められている基準
・ 任意保険の基準:各損害保険会社が定めている自社独自の基準
・ 弁護士の基準(裁判所の基準):これまでの裁判所の判断の積み重ねにより認められてきた賠償額を目安として作成された基準

これらの基準はどの基準を使うかで慰謝料額が変わってきます。より多くの慰謝料額を受けとるためには、より高額になりやすい基準を使うのが重要になってきます。

自賠責の基準任意保険の基準弁護士の基準基準が違うと慰謝料額も変わります。

この3つの基準の慰謝料額のイメージを比べると、次のようになります(※)。

3つの基準による一般的な慰謝料のイメージ自賠責の基準<任意保険の基準<弁護士の基準

(※) ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、被害者側にも過失割合がある場合などには、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。

このように、少しでも多くの慰謝料額を受けとるためには、「弁護士の基準」を使うのがおすすめです。

保険会社が提示する慰謝料額が、低いのはわかりました。
では、保険会社に対して、弁護士の基準で計算しなおすように交渉すれば増額してくれるでしょうか。

交通事故被害者本人が弁護士なしで交渉しても、保険会社が慰謝料額の増額に応じてくれることはなかなかないでしょう。
弁護士が、法的な知識を前提に訴訟も辞さない態度で交渉することで、保険会社も弁護士の基準もしくはそれに近い金額で応じてくれることが多いのが実情といえます。

(3)交渉の負担から解放され、適切なサポートを受けられる

弁護士に示談交渉を依頼することで、被害者や被害者家族が保険会社に直接対応する必要がなくなり、被害者や被害者家族にかかる負担を軽減することができます。

また、弁護士に依頼することで次のようなサポートも受けることができます。

・ 保険会社の主張や提示に対して、法律に基づいた適切な反論や交渉を行います。
・ 示談金を交渉するにあたって様々な証拠を集める必要があるケースがありますが、この場合には必要となる資料の収集もサポートします。
・ 後遺障害認が必要なケースには、後遺障害認定に必要な資料の内容についてもチェックするなど後遺障害認定手続をトータルサポートします。

【まとめ】交通事故の過失割合の決まり方は、加害者や保険会社との話し合いによる

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 過失割合とは、交通事故が起こったことについて、当事者双方にそれぞれどれくらいの過失(=ミス・不注意)があったかを示す割合をいいます。過失割合によって、事故の相手方から受け取れる賠償金の額が変わってきます。
  • 過失割合の決まり方は、加害者や保険会社との話し合いや裁判によって行われるのが一般的です。警察が過失割合を決めるということはありません。
  • 過失割合に納得できない場合、自己の主張を裏付ける証拠を示して反論する必要があります。これは容易ではないため、弁護士に交渉を依頼するのがおすすめです。
  • 示談交渉を弁護士に依頼することにより、賠償金の金額を増額できる、交渉の負担を軽減できるなどのメリットもあります。

保険会社から提示された過失割合に納得がいかない場合でも、「保険会社がいうことであれば従った方がよいのでは」などと思われているかもしれません。

しかし、保険会社から提示してくる過失割合には必ずしも従う必要はありません、

保険会社の提示する過失割合は、加害者側の主張(本当は飛び出してきたのに、一時停止したと主張しているなど)を前提としている場合があり、必ずしも正しいとはいえないからです。

このような場合には、弁護士を利用してください。弁護士を利用することで、「保険会社が提示する過失割合が本当に正しいのか」をチェックしてくれます。また、保険会社とのやりとりも弁護士があなたに代わり行いますので、あなたにかかる負担やストレスを減らすことができるでしょう。

実際に過去にアディーレ法律事務所に相談された方からも「法律事務所を使用したら、保険会社とのやりとり等のストレス、手間がなく、最終結果も、自分でやるより良い結果が得られるので、利用したほうがいいですよ。」との声をいただいています。

交通事故の被害にあい、加害者側の保険会社に対する賠償金請求でお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

この記事に関連するよくあるご質問

交通事故の過失割合はどうやって決まるのでしょうか?

裁判によらない示談交渉の場では、当事者双方の話合いによって決まります。

1.過失割合の基本的な考え方

裁判所、弁護士、保険会社のいずれも、原則として「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(判例タイムズ社。以下「本書」といいます)に従って決められています。具体的方法は、次のとおりです。

本書全訂5版では、あり得る交通事故の類型として338件の類型を挙げていますが(この類型内容、件数は改訂を経るごとに変更されていきます)、まず、事故がどの類型に近いかを調べます。たとえば、「信号機のある交差点での、自動車同士の出会い頭の事故」だったとしましょう。そうすると、本書全訂4版では、類型98から類型100までの3つの類型が用意されています。

これら3件を見比べると、「信号の色」が問題となっていることがわかります。次に、自分の車、相手の車がそれぞれ何色の信号のときだったかを思い出しましょう。

そこで、たとえばあなたの車が黄色、相手の車が赤だった、ということになりますと、類型52が合っているということになります。そこで、この類型の「基本割合」を見ると、20:80と記載されているので、特別な事情がないかぎり、あなたが20%、相手が80%という事故だということになります。

しかし、それで終わりではありません。その下に書かれている「修正要素」という項目を見ていきましょう。たとえば、あなたが赤信号の直前に交差点に進入したのだとすると、あなたの過失割合20%に10%が加えられることが書かれています。もしこのような事情があったとすると、あなたが30%、相手が70%ということになるのです。

ただ、実際には、これだけ類型が用意されているにもかかわらず、どの類型にもあてはまらない事例も少なからず存在し、そのような場合は、できるだけ似ている事案を参照しながら妥当な過失割合を考えていくことになります。ただ、類型と違えば違うほど過失割合の判断は難しく、訴訟になった場合の予測は困難となります。

2 過失割合を「決める」のは誰か?

以上のとおりが過失割合の考え方ですが、ご相談を受ける中で、「もう保険会社が過失割合を決めてしまったのだけれども、これに納得がいかない」などのお話をお聞きすることがあります。しかし、これは誤解でありまして、保険会社が一方的に過失割合を決めることはできません。あくまで、任意の話合の段階では、被害者の方と保険会社との「合意」があって初めて過失割合が決まるのです。ですから、保険会社がいう過失割合は、「保険会社の一方的な見解」に過ぎず、これに「合意」しなければ、過失割合が決まることはないのです。そして、このような「合意」ができないときは、最終的には訴訟になりますが、訴訟になった場合には、当事者の主張と提出する証拠を見て、裁判所が過失割合を決めることになり、これが最終判断となります。

3 過失割合でなかなか合意できない場合はどうしたらいいか?

たとえば、「交差点である」とか、「信号機がある」とか、「どちらも自動車だった」とか、「自分の走っていた道路は優先道路だった」などの事情は、交通事故証明書などで客観的に明らかなので、争いになることはありません。

しかし、「衝突のとき、相手が合図をしていなかった」とか、「衝突のとき、相手方の信号は黄色から赤色に変わる瞬間だった」などの事情は、上にご説明した「修正要素」として大変重要な事情ではありますが、とくに示談交渉の段階では、客観的な証拠がないことが多いので、深刻な争いになることがあります。このような場合、刑事記録を取得することが非常に重要です。ただ、刑事記録を取得すれば、それだけで被害者の言い分が正しいことが明らかになるとはかぎりませんので、そこからさらに資料の収集や交渉が必要となると思われます。

お互いの言い分が大きく食い違うような場合は、相手方との争いが相当長期間におよぶ可能性があるので、とくにお金のやりくりが難しくて当面の生活費にも困ってしまう状況にある被害者の方は、争いどころではない状況に陥ることがあります。そのような方は、自賠責保険の被害者請求をしたり、あるいは(あなたがかけている)人身傷害保険の保険金を請求したりすることを検討して、早めに賠償を受ける方法を考えたほうがよいでしょう。以上のとおり、過失割合をめぐる交渉では、色々な要素をバランスよく考えていかなければならず難しいものなので、知識、経験がある専門家に相談することをお勧めします。

弁護士に依頼をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

弁護士に交通事故被害の依頼をする主なメリットは以下のとおりです。

  • 慰謝料などを増額できる可能性が高まる
  • 保険会社への対応を一任できる
  • 適切な後遺障害等級認定を獲得できる可能性がある
    交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害として認定されると後遺障害慰謝料を請求できるようになります。

適切な等級の認定により、賠償金額が増額する可能性がありますが、後遺障害等級認定の申請手続は複雑です。法律的・医学的な専門知識も必要となるため、交通事故に詳しい弁護士に対応してもらうことをおすすめします。

また、保険会社との交渉は、経験豊富な担当者と直接やり取りを行う必要がありますが、多くの方は交通事故など人生で何度も遭遇するものではなく、知識と経験の差が大きいです。

実は、保険会社の提示してくる示談金は保険会社独自の基準に従っており、裁判をしたならば認められる弁護士基準(裁判所基準)を大きく下回ります。

そのため、示談提示をしているにもかかわらず、「そういうものなのか」と言いくるめられてしまうことも少なくありません。

これに対し、弁護士に依頼すれば、保険会社の提示する示談案を検討し、不合理な点については的確に反論してもらえるだけでなく、弁護士基準に従って適切な賠償を受けられる可能性が高まるのです。

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この記事の監修弁護士
南澤 毅吾
弁護士 南澤 毅吾

弁護士は、大学入試・司法試験など型にはまった試験を課せられてきており、保守的な考え方に陥りやすい職業だと私は考えます。依頼者の皆さまの中にも、「弁護士=真面目」、言い換えれば頭が固い、融通が利かないというイメージをお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。私はそのようなイメージをぜひ打ち破りたいと思っています。「幅広い視野、冒険心・挑戦心、そして遊び心を持った弁護士でありたい」、「仕事に真摯に取り組むのは当たり前だが、それ以上の付加価値を皆さまにご提供したい」。それが私のモットーです。

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